TVZ歌舞伎
市村萬次郎
太刀盗人のあらすじ
これは能・狂言に題材を求め、背景に松羽目をおいただけの能舞台を模した、簡素化した、舞台で行われる松羽目物と呼ばれる舞踊劇の一つです。萬兵衛は訴訟のため都にきていましたが、それも解決し田舎に帰るに当たり、新市の開かれている寺町へとやってきます。物珍しげに品物を見ていると、九郎兵衛というすりに目を付けられます。雑踏の中、万兵衛は持っていた黄金作りの太刀を取られてしまいます。奪い返そうと揉めているところに、目代がやって来て太刀を預かり詮議を始めますが、両人ともに自分のものであると譲りません。そこでいろいろと質問をしますが、九郎兵衛は万兵衛の言うことを盗み聞きしては同じように答えるので埒があきません。そこで太刀の地肌焼きのようていを連舞に語らせますが、またもやうまく真似をしてしまいます。
その様子がこの狂言の見所の一つになっています。万兵衛は自分の声が大きいので、聞き取られて同じように言うのであろうと、小声で太刀の寸尺をいいます。さあ、聞き取ることのできなかった九郎兵衛は、ついにすりであるとばれてしまいます。が、そこは抜け目なく太刀をまたもや奪いとり雑踏の中へと逃げていくのでした。
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