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The origin of
Multi-color printing

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源流
はじめに カラー印刷の源流は「錦絵」にあり・・・・三浦久司
源流
今、私達の暮らしの中にはありとあらゆるカラ−印刷物があふれています。 そして、それらが私たちの生活に美しい彩りを与えてくれています。

現代のカラ−印刷が三原色を刷り重ねる方式であることは良く知られていますが、カラ−印刷の源流を溯るとどこに行くのでしょうか。

印刷の歴史の中では、15世紀中頃ドイツのグ−テンベルグによる鉛活字の考案と活版印刷機の発明が有名ですが、現存する「42行聖書」も絵柄には手彩色が施されています。カラ−印刷技術への道はまだまだ遠かったのでしょう。

さて、私達はカラ−印刷の源流を探るにあたって次のような条件を考えました。
(1)その製品が現存していること。
(2)品質が今のカラ−印刷に近いこと。
(3)量産されていること。

情報化時代といわれるいま、多くの先端技術はデジタルを合言葉に一般の人々の理解できない領域に進んでいるようです。カラ−コピ−やプリンタ−は瞬時にカラ−印刷物を提供してくれます。これからはカラ−印刷の源流を溯っていくのはますます困難になっていくのかもしれません。

それでは、カラ−印刷の源流はいつごろ、どこに求められるのでしょうか。

源流
答えは、230年前の「日本」なのです。 日本の「錦絵」が世界に先駆けて始まったカラ−印刷なのです。1765年、鈴木春信という浮世絵師が多彩色の浮世絵木版画「錦絵」を創案したのです。「錦絵」は浮世絵の手法の名称で、後年には浮世絵イコ−ル錦絵ともいわれています。浮世絵版画はこれより100年程前に菱川師宣という絵師が当時の市井風俗を一枚摺り木版画にして庶民の人気を呼び年々盛んになりました。

浮世絵版画のカラ−印刷技術化を確立した鈴木春信は一世を風靡し、「錦絵」は飛躍的に発展していきます。「錦絵」の版材は固く均質な桜の木を用い、紙は厚手の奉書和紙を用います。こうした素材と手先が器用な職人達の技能とが融合して日本独特のカラー木版画が誕生したのです。制作工程は絵師と彫師、摺師との分業になっていました。この木版技術はメディア媒体としても、ちらし、ポスター等に応用されていきます。

絵師の中でも、歌麿、北斎、写楽、広重などという名は良く知られています。近代に入って、清親、巴水と続き、昭和年間にも吉田博などが海外にまで活 躍の場を広げています。

「錦絵」はその質においても、数においても、世界に類のないカラ−印刷の源流といってもよいでしょう。「錦絵」は江戸時代の生んだ町人文化の華なのです。

世界の印刷の歴史をひも解いてみても、ニュ−トンを始めとする色の理論の追求と応用は18世紀初頭から盛んに行われ、現代の三原色印刷の基盤を構築してきましたが、実用化されてきたのは19世紀後半に入ってでしょう。

私達はこれからカラ−印刷の源流を尋ねてみたいと思います。まだまだ見知らぬことや不明な点も数多くあることでしょう。

これから始まるカラ−印刷の源流への旅の中で、皆様のご意見、ご感想などをお聞かせ願えればしあわせです。