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Multi-color printing

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源流
錦絵の制作技法(2)
錦絵
<摺 師>
(1)前準備
用紙の用意: 厚手の奉書紙に絵の具のにじみ防止に礬水(どうさ)を引く。
礬水とは膠に明礬を混ぜて薄めた液をいう。
乾燥させてから、絵の具のつきを良くするため、再び適当な湿気を与える。
用紙の種類: ・大奉書(39×53cm)
 大 倍 判(39×53cm)全紙の大きさ
 大 判(39×26cm)大奉書1/2
* 錦絵に一番多く使われている。
 中 判(26×19.5cm)大判1/2
 四つ切判(19.5×13cm)大判1/4
 長 判(19×53cm)大奉書の横二つ折り
・大広奉書(44×58cm)
・小 奉 書(47×33cm)
・丈長奉書(72×53cm)
注)生漉奉書 (越前奉書)……品質良く、高級品。
柾  紙 (伊予奉書)……錦絵の殆どが使用している。
絵具の用意: 地墨…墨をすり鉢にいれ、水でふやかし柔らかくして、すりこぎで潰し、布ごししてつくる。
艶墨…墨汁を布ごしして、姫糊などを加えてつくる。頭髪などに用いる。
紅……紅花の花弁をしぼってつくる。
朱……水銀を焼くことによってできる酸化水銀。
丹……鉛と硫黄硝石を混合してつくる鉛丹。
欝金(うこん)…濃い黄色。しょうが科の多年草。
藍……タデ科の一年草。葉と茎をつかう。
紫……露草の藍と朱の混合。
(2)指定された絵の具を版面に塗り、紙を版面に下向きに伏せてから、紙の背を馬連で隅から隅までこすって一枚づつ印刷していく。
同じ紙に何色も摺り重ねるので版の位置を合わせる必要がある。これが見当技法であり、紅摺絵より正確で洗練された方法が工夫された。
版木の右下に浅く彫られた直角の鉤型のくぼみとその横線の延長上に左右直線状に彫られた引きつけというくぼみをセットで使用する。
(3)道 具
刷毛: 大から小まで、絵の具を塗る部分によって使い分ける。
馬連: 摺る時、平均に力を加える道具。中に入っているコヨリの太さにより数種類あり、版木の状況で使い分ける。
鮫皮: 刷毛の表面を整える時使う。

(4) 最初は小部数の見本摺りをして、絵師が立会い状況を検討する。必要であれば刷り色を変えることもある。いよいよ本番となり、淡い色から摺り重ねていく。一日の仕事量は一人約200枚とされ、これを一杯と呼んだ。

(5)摺り順序(広重「東海道五十三次 自須賀」の例)

現在のカラー印刷
多くの色版を摺り重ねていく錦絵のカラー表現手法と、現在のカラー印刷の手法とは大きく違います。現在のカラー印刷の仕組みを目で体験してみて下さい。

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錦絵
(5) 摺り技法
1. ぼかし摺り
拭きぼかし: 濡れ雑巾で拭いて水分をふくませた版木の表面に刷毛で絵の具を引き、にじんだ状態で紙に摺り出す手法。
一文字ぼかし: 画面の上辺あるいは下辺にほぼ水平にぼかしをかけたもの。主に風景画で空や水の深みを表現する時用いられる。
あてなしぼかし: 濡れ雑巾で版面を濡らすか、少量の水を版面にたらし、そこに絵の具をしみこませて摺る。ぼかしをかける場所がおおまかで,形も偶然性に左右される。
2. 技法
地潰し: 絵の大きな面積を一色で摺り潰すこと。黄色であれば「黄潰し」と呼ばれる。
雲母摺: 作品に豪華な感じを出すために考案されたもの。膠液等に雲母粉や貝の粉末を溶かしたものを刷毛で塗り付ける。
から摺: 絵の具を用いず馬連で圧力を加え、紙面に無色の凹凸を摺り出す方法。
布目摺: 版木の部分に絽または紗を貼り付け、その布目を摺り出す。