アディーナ: |
いつもの厄介事かしら
こんなところで油を売ってるより
病気で危ない町のおじさんのところへ行ったら? |
ネモリーノ: |
おじさんの病気より僕の悩みの方が深刻だよ
ここを離れることが出来ないんだ |
アディーナ: |
あのね、よく聞いて
あんたはいい人よ
例の軍曹さんみたいに自信は持ってないみたいだけど
でもだからはっきり言うのよ
私の愛を得ようとしても無駄だわ
私は気紛れなのよ
私の情熱は目覚めた途端に消えていくんですもの |
アディーナ: |
良い質問だわ!
そよ風にこう聞いてごらんなさいな
ユリやバラの間を
今牧場かと思えば今は小川と
なぜに休みなく飛び回るのかって
きっとこう答えるでしょうよ
私は気の変わりやすい性格なんだって |
ネモリーノ: |
なぜだって?なぜだって?
小川にこう聞いてごらんよ
生まれた山から滴り落ちて
海へ向かって流れていって
なぜにその海の中に消えようとしているのかって
きっとこう答えるだろうよ
何だか不思議な力が僕を引っ張るんだって |
ネモリーノ: |
小川と同じように消えてゆくよ
君の後を追いながら死ぬんだ |
アディーナ: |
変わらぬ愛なんて狂気の沙汰よ
あんたは私の流儀に従うべきだわ
それは毎日愛する人を変えること
毒をもって毒を制するというように
新しい恋で昔の恋を追い払うのよ
私はそうやって伸び伸びと恋を楽しんできたんだから |
ネモリーノ: |
僕は昼も夜もあらゆるものに君の姿を見てきたんだ
どうやったって君を忘れるのは無理だよ
他の恋ならば君のやり方でうまく行くだろう
でも最初の恋を心から消し去るなんて
決して決して出来ない、出来ないよ |
ネモリーノ: |
出来ないよ、出来ないよ
心から消し去るなんて出来ない |