BASHO
写真と文:上野信好


その松島について芭蕉は紀行文では、言葉を選び形容の限りを尽して筆はさながら桃源郷をゆくが如くでありました。
『そもそも、ことふりにたれど、松島は扶桑第一の好風にして、およそ洞庭・西湖を恥ぢず。東西より海を入れて、江の中三里、浙江の潮を湛ふ。島々の数を尽して、欹つものは天を指し、伏すものは波に匍匐ふ。あるは二重に重なり三重に疉みて、左に分かれ右に連なる。負へるあり、抱けるあり。児孫愛すがごとし。松の緑こまやかに、枝葉潮風に吹きたわめて、屈曲おのづから矯めたるがごとし。その気色えう然として、美人の顔を粧ふ。ちはやぶる神の昔大山祇のなせるわざにや。造化の天工、いづれの人か筆をふるひ、詞を尽くさむ』
 意図するところ余計な説明は不要というものでしょう。

BASHO 写真は拜殿前左側の燈籠
塩釜神社の「文治燈籠」


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