BASHO
写真と文:上野信好


 また野田の玉川・沖の石・末の松山など歌枕の地は実に百メートルぐらいの間に近接していて、それらは多賀城市と塩釜市の境界近くの住宅地の中にひっそりと点在しており、うっかりすると気がつかないほどのものでした。
 紀行文「おくのほそ道」では、その日の夕刻塩釜で宿をとり翌5月9日早朝塩釜神社に参詣することになります。
 塩釜神社は陸奥国一の宮と稱されるほど華麗な築造を誇るもので、この社で見届けたいものは文治燈籠と花びらにしわがあり八重の花が咲く塩釜櫻でありましょう。
 文治燈籠は本殿拜殿の左右に2基あり、この燈籠のいわれを芭蕉は次のようにしるしています。『神殿に古き宝燈あり。鉄(カネ)の扉の面(オモテ)に「文治三年和泉三郎寄進」とあり。五百年来の俤(オモカゲ)今目の前に浮かびて、そぞろに珍し。以下略』

BASHO 「沖の石」多賀城市
住宅街の中にひっそりと残っている


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