BASHO
写真と文:上野信好

[芭蕉の旅]
 ところで芭蕉という俳号は天和2年(1682)39才のときはじめて登場します。芭蕉は生涯で10度もの大旅行をしていますが、そのうち5度の旅は紀行文に仕上げ、後世に偉大な芸術として残すことになりました。
 貞享元年(1684)41才のときの「野ざらし紀行」に始まり、貞享4年(1687)44才の8月に出かけた鹿島詣の「鹿島紀行」。同年10月からの「笈の小文の旅」とその帰路の「更科紀行」。そして今回ご紹介する「おくのほそ道」の旅は、元禄2年(1689)3月27日江戸を発って8月末に美濃大垣に至る5ヶ月余をかけ、600里(2400k/m)にもおよぶ大旅行でありました。




[芭蕉の作品]
(詩句)─芭蕉は10代の終りの頃から詩作を始め、生涯で残した作句は5・7・5の17文字の※長句だけでも980余句になります。
 ※当時の句作は複数の人が座を組み連綿と詠み合う俳諧といわれるもので、5・7・5の長句と7・7の短句を交互に詠み継ぎ、100句を一巻とする百韻(ヒャクイン)と36句形の歌仙(カセン)と呼ばれるものがありました。芭蕉はいづれの俳席でも宗匠として主客の立場にあることが多く、980余句の長句のうち俳席で最初に出す発句を120句ほど詠んでいます。


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