![]() 写真と文:上野信好 |
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そのような清風の心からな る歓待を受けた芭蕉は、当然のことながら居心地がよく、清風、曾良らと2巻の歌仙 興業を持っています。清風は芭蕉のために、前年に改修をおえた養泉寺を宿所として 用意しますが、家並の外れにあるこの寺での起居が、芭蕉には格別気分がよかった様 子で次の発句を残すことになりました。 「すゞしさを 我やどにして ねまる也(ナリ)」 (立石寺)5月27日(陽暦7月13日)の早朝尾花沢を発った芭蕉は、山形市郊外の宝珠 山立石寺(ホウジユザンリュウシヤクジ)に午後2時半頃到着したと曾良日記は伝へ ています。現在の山寺行は、仙台山形間を連絡するJR仙山線山寺駅で下車、駅のすぐ 前方の立合川を渡ったところに登り口があります。 紀行文で芭蕉はこの山寺の静閑で美しい景色のさまを叙し、「佳景寂寞(カケイジャクバク)として心澄 みゆくのみおぼゆ」と表現しています。
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