BASHO
写真と文:上野信好


 (大石田・最上川)江戸時代最上川を酒田に向けて下る川船の発着所として大石田は 栄えたということです。尾花沢から西南に約4キロの地点にある大石田は古くから舟 運の町として知られるばかりでなく、芭蕉と同世代の高野一栄・高桑川水などすぐれ た俳人を輩出した土地でもあります。当時の川舟は特産の紅花をはじめ穀物などの荷 捌きで活況を呈していたらしく、川舟役所(船審所)が置かれたほどでした。最近、 町おこしのため船審所が復元されていますが、その近くの乗船寺(浄土宗)の境内に は正岡子規の最上川句碑や斉藤茂吉の墓などがあります。
大石田一栄亭における歌仙で芭蕉は有名な「五月雨を あつめて早し 最上川」の発句が 浮かびました。もっともこの句の初案は「あつめてすずし」であったのを、水量が豊 かで難所の多い最上川の舟下りを実地に体験して改作したということでありました。紀行文では立石寺の次に大石田の最上川を登場させ、静寂と激流というふた場面を連 続して対称的に描いていますが、実際の旅はかなり違ったものであったようです。



BASHO 大石田ー栄邸跡の句碑
「さみだれを 集めてすゞし もがみ川」


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