BASHO
写真と文:上野信好





7月25日、多太八幡宮で悲劇の武将斉藤別当実盛の甲胄と義仲の願状を拝見し、その とき詠んだ芭蕉の句は

「むざんやな 甲(カブト)の下の きりぎりす)」

でありました。この句とともに、曾良・金沢の門弟北枝(ホクシ)三詠が境内に句碑として残っています。

BASHO 小松市八幡町
多太神社参道入口の実盛の兜碑

芭蕉の句「むざんやな」
の句意は「実盛の甲胄を目前にして痛ましさがつのってくる。今は甲の下でこおろぎが寂しく鳴いているばかりだ」というほどの意味でし ょう。
実盛の壮烈な最期は平家物語や謡曲「実盛」などで有名ですが、人気の少いこの神社で実盛の遺品を前にすると不思議なことに、810年以上も前の悲しい出来事がよみがえってくるようであります。
申すまでもなく「むざんやな」の句は、倶利伽羅山における源平の戦いで平家軍として参戦した老いた実盛の討ち果てた姿を想い起して詠んだものでした。


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