BASHO
写真と文:上野信好


芭蕉テキストのご紹介
【テキスト】このホームページでは次の文庫本をテキストとします。どうぞお手元 にご用意下さって画面と対比しながらご覧いただくことをおすすめします。

「新訂おくのほそ道」
潁原退蔵・尾形仂訳注・・・・・・・・角川文庫 ¥620


BASHO
「おくのほそ道」発端
『月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。舟の上に生涯を浮かべ、馬の口とらへて老いを迎ふる者は、日々旅にして、旅を栖とす。古人も多く旅に死せるあり。予も、いづれの年よりか、片雲の風に誘はれて、漂泊の思ひやまず、海浜にさすらへ、去年の秋、江上の破屋に蜘蛛の古巣を払ひて、やや年も暮れ、春立てる霞の空に、白河の関越えんと、そぞろ神のものにつきて心を狂はせ、道祖神の招きにあひて取るもの手につかず、股引の破れをつづり笠の緒付けかへて三里に灸すうるより、松島の月まづ心にかかりて、住めるかたは人に譲り、杉風が別墅に移るに、草の戸も住み替はる代ぞ雛の家 表八句を庵の柱に掛け置く。』この260字余の「発端」の章は「おくのほそ道」の序に当る部分で、芭蕉は旅についての考え方を述べ、旅心につき動かされている自身の心境を吐露しつつ、未知の地に旅立つ静かな決意を伝えています。


この「発端」は紀行文の中でも最も重要な部分で引き締った漢文体でまとめています。

〈旅立ちの章、深川から室の八嶋まで〉

「おくのほそ道」の出発は元禄2年(1689)3月27日でした。これは旧暦の日付で現在の陽暦では5月16日に当ります。


BASHO 千住大橋ぎわ「おくのほそ道」

句「ゆく春や鳥なき魚の、目はなみだ」
が碑に刻まれている
日付は元禄7年(1689)3月27日


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