「おくのほそ道」をたどる
BASHO
写真と文:上野信好





この師弟の別離の悲しさを中国の詩人蘇武の詩を引用し、二人旅がここで止むなく引 き裂かれ、別れわかれになった淋しさを句を添えて綴っています。
「今日よりや 書付(カキツケ)消さん 笠の露」
句意は曾良と別れて今日からはひとり旅になってしまった。今日まで笠に書きつけた 「同行二人」の文字も笠に置く露で消すことにしよう というほどの意味でした。

BASHO 加賀市大聖寺町
「全昌寺の本堂内の芭蕉像」
(一夜の無常芭蕉のほそ道)としるす
作者は芭蕉の高弟杉山杉風

(全昌寺)曾良と別れて一人旅となった芭蕉(実際はこの先松岡まで北枝が同行) は、8月7日、先行の曾良に一日おくれで加賀市大聖寺町の町外れの禅寺全昌寺に泊ま りました。
「よもすがら 秋風聞くや 裏の山」
一人旅・禅寺・秋風と旅ゆく芭蕉にはこのときほど孤独感、寂寥感を味合ったことは なかったように推測されます。

BASHO 「全昌寺曾良の句碑」
「よもすがら 秋風きくや うらの山」

師芭蕉に先立って長島に向った曾良とて同じ思いであったことでしょうが、その曾良 は芭蕉の宿泊予定地に路銀(ロギンは旅費のこと)を預けておき、師の旅に不足がな いよう配慮をしておりました。


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