BASHO
写真と文:上野信好


(敦賀)福井をあとにした芭蕉は、白根ヶ岳・古歌に詠まれた玉江の橋・あさむつの橋・鶯の関などを通り、木曾義仲の城跡燧ヶ城(ヒウチガジョウ)を経て8月14日(陽歴9月27日)の夕方敦賀にたどり着きました。その日は名月の前日で月がきれいな夜であったようで、先行の曽良が手配していた旅宿出雲屋の主人に「明日の十五夜もこのように晴れてくれるだろうか」と尋ねると、「この北陸地方では天気が変りやすいので明日のことは予想がつきません」という返事が返ってきました。そこで芭蕉は急遽気比(ケイ)の明神に夜参りすることにしました。その亭主からはまた、「その昔、遊行二世の上人が自ら仲哀天皇の御廟である気比明神の境内の地ならしを思い立たれ、土石をにない草を刈り砂を運ばれたことから土地の人々が“遊行の砂持ち”と言い伝える」という故事を聞くにおよんで、芭蕉は崇敬の念を一層篤くしたように思われます。

【テキスト】このホームページでは次の文庫本をテキストとします。どうぞお手元 にご用意下さって画面と対比しながらご覧いただくことをおすすめします。

「新訂おくのほそ道」 潁原退蔵・尾形仂訳注
  角川文庫 ¥620


【前へ】 【次へ】 【BASHOトップへ】


[ TVZホーム ]