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蝶々夫人(Madama Butterfly) |
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第三幕 《小さい家の部屋》 |
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写真提供:財団法人東京二期会
(中央)島崎智子 |
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一晩中蝶々さんは眠らずにピンカートンの帰りを待っていましたが、夜が明けても彼は現れませんでした。
疲れて眠ってしまった子供をあやしながら、彼女は寝室へ入ります。それを見送るスズキの前にピンカートンとシャープレスが。喜ぶスズキでしたが、そこにはもう一人ピンカートンの妻ケートの姿もあったのです。蝶々さんがいかに自分の帰りを待っていたかを知ったピンカートンは激しく後悔し、いたたまれずシャープレスにすべてを託して懐かしい小さな家に別れを告げて去っていきます。(「さらば、愛の家よ」) |
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スズキはケートに、蝶々さんにことの次第を話し、さらに子供の将来のために引き取らせて欲しいとのことを告げるつらい役目を負わされます。そこへ目を覚ました蝶々さんが人の気配を感じ、ピンカートンが帰ってきたものと思って走り出てきます。しかしそこで彼女が目にしたものは、シャープレスと一人のアメリカ婦人、そして涙にくれているスズキの姿でした。すべてを悟った蝶々さんは子供を渡すことを約束し、二人を見送ります。 |
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そばにいたいと願うスズキさえも下がらせた蝶々さんは、父の形見の短刀をとり、「名誉をもって生きられなければ、名誉をもって死ぬ」と刻まれた銘を読み自殺しようとします。するとそこへ突然子供が走り込んできます。蝶々さんは激しく子供を抱きしめ、自分の母としての愛情を歌い上げます。(アリア「さようなら、坊や」) |
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子供を下がらせた後、覚悟を決めた蝶々さんは一気に短刀をのどに突き立てます。遠くから、ピンカートンが蝶々さんを呼ぶ声が聞こえてきますが、いまわの際の彼女にそれは聞こえたのでしょうか。愛の日を過ごした小さな家の部屋の中で、蝶々さんは事切れるのでした。 |
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