江戸・東京を往来して探る 実用便利帳
江戸の便利帳【六】
「江戸っ子好みの色」(冬)
文:三輪映子
「火事と喧嘩は江戸の華」というからには、よろずにつけてスカッとしているのが江戸っ子。と思いがちですが、色彩感覚はその反対。地味な色合いの微妙なちがいを競い、それだけにネーミングには非常に凝りました。今回は江戸好みの色を集めてみました。

江戸茶(えどちゃ)
くすんだ薄茶色。江戸で好まれた代表的な色の一つ。


鴬茶(うぐいすちゃ)
緑色をおびた褐色。渋好みの江戸の女性が好んで着た色


団十郎茶(だんじゅうろうちゃ)
市川団十郎家伝来の狂言「暫」で用いる衣装の色。人気役者の五代目団十郎(1741~1806)の人気にあやかって流行した。


煤竹色(すすたけいろ)
囲炉裏で火をたく生活をしていると、建築用材に用いた竹がすすけて渋い色合いになる。その竹の色。


生壁色(なまかべいろ)
生乾きの土壁のような色。色も名前ひねりをきかせてある。


浅葱・浅黄(あさぎ)
一応は緑を含んだ青とされるが、ネギの葉の薄い色とも、薄い黄色であるとも、諸説あり。


瓶覗(かめのぞき)
藍瓶をちょっと覗いた程度に染めたという意味で、薄い藍色。名前がしゃれている。


江戸紫(えどむらさき)
赤みの京紫に対し、青みの江戸紫は江戸っ子の心意気をあらわす色。歌舞伎の登場人物、助六の扮装に、江戸紫の鉢巻は欠かせない。


※掲載の色はイメージです。

●実用便利帳《東京の花の名所》1月〜3月

身を切るような真冬の冷気の中で、あでやかに大輪の花を開く冬牡丹の不思議。 そして、熱帯植物を鑑賞するなら、真冬がお勧め。温室はなんてったって暖かいし、 熱帯植物特有のはなやかな色や形は、心もほんわかと暖めてくれます。

【冬牡丹】上野東照宮
 1月上旬〜2月下旬
古風な石灯籠を背景に、霜よけの藁をかぶって咲く姿に風情がある。
所在地=台東区上野公園/上野東照宮ぼたん苑=
TEL03-3822-3575

【温室】夢の島熱帯植物館
 1年中珍しい花が楽しめる。
三つのドームからなる大温室に、約千種類の熱帯・亜熱帯植物を収集している。
Aドームは熱帯の水辺の植物。木生シダやパピルス、オオオニバスなど。
Bドームは熱帯の人里。コーヒー・果物などの作物や、色あざやかな花々。
Cドームには小笠原諸島の植物を集め、東京都の特色を出している。
所在地=江東区夢の島3-2/夢の島熱帯植物館管理事務所=
TEL03-3522-0281〜2

【温室】新宿御苑 1〜3月は洋ランの花が見頃
大温室は、亜熱帯植物室・ヤシ室・花木室・熱帯スイレン室・ラン室の5室に分かれ、それぞれの室の景観にバラエティーがあって楽しい。冬はランの花どき。ラン室では、カトレアやデンドロビュームが咲き誇る。
所在地=新宿区内藤町11/新宿御苑=
TEL03-3350-0151

【温室】神代植物園
熱帯の花木室・熱帯スイレン室・ベゴニア室からなる大温室に、約650種の植物。大温室の前のバラ園では、寒さに耐えてバラが咲いている。
所在地=調布市深大寺元町5-31-10/神代植物公園管理事務所=
TEL0424-83-2300

【温室】東京都薬用植物園
温室には、アロエ・ニッケイ・チョウジ・カカオ・コーヒーなど、薬草や薬木、香料や香辛料のもとになる植物を集めている。涼しい気候を好む植物のため、「冷室」もある。
所在地=小平市中島町21-1/東京都薬用植物園=TEL042-341-0344


※2000年12月現在

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