お江戸のおもしろグッズ【3】
『サラダに粋な江戸木箸』
文・絵 三輪映子
江戸木箸 隅田川の東岸、向島。昔は職人さんの多い街だった。「江戸木箸創作卸」の大黒屋さんは、今もここに事務所を構えている。箸という単純な道具に、創作の余地がまだあるのかしらと不思議に思って、代表取締役の竹田勝彦さんを訪ねた。このあたりでは昔から箸が作られていたが、「江戸木箸」という名称を広めたのは竹田さんだという。 江戸木箸は、素地に漆をすりこんで、木肌を生かして仕上げる。だから滑りにくい。手に持って扱いやすく、箸先でつまみやすい。ほかにも、手で持つ部分に浅く刳りを入れるなど、使いやすい工夫がいろいろ。「使いやすくなければ箸ではない」と、竹田さんはいう。特に大事なのは、手元の太いところから先の方へと一直線に細くなっていること。先の方へいって急に細くなった箸では、うまくつまめない。ほんとうに、大黒屋さんで見せてもらった箸はどれも見事に一直線で、先の方は鋭いまでに細い。これが使いやすさの秘密なのだが、こんな形に削っても折れないためには、素材は固く緻密な木でなければならないという。たしかに、この箸なら焼き魚の骨がよくとれそう。そして、機能を磨き抜いた結果の、形の美しさ。「創作」の意味がわかった気がした。  竹田さんの追求はそれだけでなく、反対に、先の方を太くしては?という逆転の発想から、納豆箸、サラダ箸、豆腐箸などが生まれた。たとえばサラダ箸、長年箸になじんできた私にはサラダサーバーよりも使いやすい。絵は、我が家のグリーンサラダとサラダ箸。

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