お江戸のおもしろグッズ【4】
『ミスマッチも楽しい簾のランチョンマット』
文・絵 三輪映子
簾 「簾」という字を読める人、手をあげて!かくいう私は読めなかった。音はレン、訓はスダレ。すだれなら知っているよ、その昔は実用品、今は俳句の夏の季語でしょ。と思ったのは浅知恵だった。冷房は空気を冷やしはするけれど、視覚を爽やかにしてはくれない。すだれは涼感を演出するインテリア用品として、現代に生きている。
 田中製簾所社長の田中義弘さん、すだれを編んで四代目、頼もしい五代目も育っているという。開口一番、「お客様が必要とされるものを工夫して作る。それが職人なんだ」。たとえば?「イサム・ノグチの照明具は、ずいぶん作ったね」。えーっ、あの彫刻家の巨匠の?田中さんはこともなげに、「おもしろい人だったね、次々といろんなアイデアをもってくる」。それで、図面を見て作るんですか?「そんなのも、ないよ」。図面がないのに、どうやって?「すだれで、こういうものができないか、って」と、空中に両手で立体を描いてみせた。ということは、彫刻家がイメージし、田中さんが造形した…「ま、そういうことかな」。
 さて、田中さんの考案になる、すだれのランチョンマット。素材は、竹、萩、ガマ、ヨシ。懐石料理のお店などで使われているそうだけれど、用途を和食器に限ることはない。パスタ用のカラフルなお皿も、純白のジノリも似合いそう。花瓶敷きにもいい。壁に止めて、小さな絵を飾るのも粋。今月の絵は、萩のランチョンマットと、我が家の兎たち。

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