お江戸のおもしろグッズ【6】
『現代のファッションに江戸小紋を』
文・絵 三輪映子
江戸小紋 型染めで小さな柄を染めたものを小紋という。なかでも江戸好みの、粋な柄ゆきが「江戸小紋」。えび茶、鼠、納戸といった地味な地色に、極小の点々や柄が白抜きされ、ちょっと離れると無地にしか見えない。元来は派手を厭う武士のもので、日光東照宮には家康が着たという小紋の胴服が残されている。ところが江戸も後期には、歌麻呂の美人様がご愛用。以来、江戸好みの小紋は、文明開化のハイカラ趣味や大正モダンの波に呑まれることなく、現代まで着られ続けている。
 五月女染工場の五月女利光さんをを訪ねた。染色に水はつきもの。今は地下水を利用しているが、先代が創業した頃は、染めた布を自転車に積んで隅田川に運び、洗ったものだという。さて、一番肝心な、型付けという工程を見せていただいた。板に張った白生地に型紙をのせ、上から糊を置く。その繰り返しのなかで、型紙の小さな柄が寸分たがわず合う。いつものことだけれど、職人さんの技には感動のほかはない。
 最近、着物の生地で洋服を仕立てることが、ちょっとしたブームになっている。最近では、江戸小紋のシャツやジャケットから、ネクタイ、ベスト、スカーフ、マフラーなどがあるという。しかし和風の色柄は渋いようでいて、洋服のなかにもってくると結構目立つから、垢抜けた着方をしたいなら、ワンポイントがコツ。私なら、スカーフかマフラー、あるいはベストの、どれか一つ。ほかは思いっきり地味に、シンプルにまとめたい。

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