ラ・ボエーム
 
ラ・ボエーム(La Boheme)
 
第三幕
《二ヶ月後 アンフェール関門近く》
 
ラ・ボエーム
写真提供:(財)東京二期会
 
 早朝、物売りたちが仕事に出かけていきます。町外れの居酒屋からは、夜通し飲んでいた客たちの陽気な歌声が聞えてきます。そこはマルチェッロとムゼッタの仮住まいでもあります。
 そこへミミが寒さをこらえながらやって来ます。マルチェッロを呼び出した彼女は、ロドルフォとの生活がうまくいかないと涙ながらに訴えるのでした。ちょっとしたことにも嫉妬しイライラするロドルフォの態度にミミは疲れ果てていたのです。マルチェッロは、そこまでうまくいかなくなっているのなら別れるしかないと言い、自分がロドルフォにうまく言うからとミミを帰らせます。実は前の晩からロドルフォは、マルチェッロのいる居酒屋に泊まっていたのでした。
 
 ミミが帰った後、ロドルフォが部屋から出てきて彼女と別れることに決めた、と言います。ミミは浮気者で誰にでも愛想を振りまくから・・・と。しかし本当の理由を問い詰めるマルチェッロに、いつまでも真実を隠すことは出来ません。ロドルフォはついに言います、「ミミは病気なんだ」と。貧しい屋根裏の暮らしでは薬を買うことも出来ません。激しい咳がミミの胸を蝕んでいくのを見ていられないと彼は言うのです。
 その時、ミミの悲しげなすすり泣きが聞えます。彼女は帰ったふりをして二人の会話を聞いていたのです。病気のことを認識していなかった彼女には今の話はあまりにショックでした。
 
 居酒屋の中からムゼッタが客と戯れている笑い声が聞え、マルチェッロは部屋の中に駆け込みます。二人きりになったところで、ミミは静かに語り始めます。「お別れしましょう、恨みっこなしに・・・」(アリア「あなたの愛の呼ぶ声に」<告別の歌>)。ミミとロドルフォはお互いに別れを覚悟しつつも、冬に独りぼっちは辛いから春になったら別れよう、と甘く語り合います。そこへムゼッタと、彼女の浮気な態度に怒ったマルチェッロが走り出てきます。二人は激しく罵りあい、ついに別れてしまうのでした。
 こうして二組の対照的なカップルは対照的な別れを決めて、第三幕を閉じるのです(四重唱「それでは、本当に終わりなんだね」)。
 
 
第一幕 《クリスマス・イヴの日 パリのとある屋根裏部屋》
第二幕 《同じくクリスマス・イヴの晩 パリの街中》
第三幕 《二ヶ月後 アンフェール関門近く》
第四幕 《数カ月後 第一幕と同じ屋根裏部屋》
 
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